20181206 サムライ塾＜基調講演＞

幸福な職場のつくりかた　個も組織もレジリエンスを高める時代

働き方改革の方針が打ち出され、私たちが関わる中小企業においてもさまざまな対応の検討が進んでいます。反面、「自社ではこれ以上変えるのは難しい」「せっかく施策を打ち出したが導入がうまくいかない」という行きづまりの声が、経営者・人事担当者から聞こえてくるのも事実です。

改革がうまく進まない原因の一つは、「合意形成がなされていないこと」。つまり、働く個々が「働き方を変えた方が良い」「風土も変えなきゃいけない」という意志をもって改革に着手できていないことや、「こうありたい」という主体性ないままにやらされ感・他人事の感覚で施策だけが進んでいくところにあります。
弊社が長年力を入れている「組織開発」の視点に立つと、組織開発によって対話を重ねることで個々の言動の意図や背景・経緯が見えやすくなり、社会的感受性が高まって課題意識を持ちやすくなる、という効果があります。そのプロセスを経ることで合意形成がなされ、ベクトルのあった状態で新しい物事を進めやすくなります。そして、ES＝人間性尊重経営の考えに基づき、働く個々がやりがい・生きがいをもって仕事に取り組むことができる状態を創り上げることができるのです。「ESなくして働き方改革なし」の言葉の通り、このESを軸とした組織開発のプロセスをたどることなく働き方改革をスムーズに進めることはできないのです。

更に、昨今注目を集めている「幸福学」によると、人は、「やってみよう」という自らの意志で物事に取り組めば幸福度が上がり、その幸福度の高さは、仕事においても創造性や生産性を大きく左右すると言います。また、今年発表された神戸大学の調査では「所得、学歴よりも“自己決定”が幸福感に強い影響を与えている」という結果が発表されました。これらの点を踏まえると、働く個々が、未来に向けてどのような働き方をしたいのか考え意志決定したり、取り組むプロジェクトの意図を理解し自ら選択する、というプロセスがあるからこそ、組織の幸福度を高め、働き方改革が目指す“生産性の高い職場”を実現することができるのではないでしょうか。
そこで、今回のサムライ塾では、この幸福学とES組織開発という切り口から、これからの働く個々と組織のあり方を捉え、働き方改革のその先に中小企業が意識すべきことは何なのかを皆さまと考えます。ゲストに、日本社会にポジティブ心理学の普及を牽引してきた佐々木拓哉氏をお招きし、「幸福度を高めることがなぜ組織において大切なのか」という点をお話いただきます。

キーワードは、「ウェルビーイング」と「レジリエンス」です。
「ウェルビーイング」（well-being）とは、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念で、「幸福」と翻訳されることも多い言葉です。ウェルビーイングがどのように職場の生産性に影響するのか。そして、この複雑性の時代に、いかに「レジリエンス（心身にかかる負荷と柔軟に向き合い回復に持って行く力）」を身に付け、しなやかに前進し続ける組織をつくれるのか。
私たちが支援する中小企業の組織のあり方を考えながら、持続的な経営を実現するための理論と手法を学ぶ機会といたします。

＜対談＞はこちらからご覧ください▼

≪講師プロフィール ≫

佐々木拓哉（ささきたくや）氏

株式会社ヒューマンブリッジ代表取締役
一般社団法人日本エンゲージメント協会代表理事
米Gallup社認定ストレングスコーチ
組織レジリエンス認定トレーナー
ポジティブ心理学プラクティショナー

・経営・人事コンサルティングの上場会社にて、顧客企業のコンサルティングを担当
・人事戦略コンサルティング、組織開発・研修会社にて、顧客企業のコンサルティングや営業基盤構築プロジェクトを主導
・2009年に株式会社ヒューマンブリッジを設立採用・教育・評価制度等の人事コンサルティングや研修講師に従事
・2011年にJPPA（日本ポジティブ心理学協会）の立ち上げに参画、事務局長・法人普及リーダーを務め、レジリエンスやポジティブ心理学の組織応用を促進
・2018年8月にJEA（日本エンゲージメント協会）を設立小屋一雄氏とともに代表理事に就任